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写真:田中亜紀

<キッド・アイラック・アート・ホール提携公演>

タイトル  神蔵香芳+クリストフ・シャルル+風巻隆 共同創作 「月と遊園地」 
日時    2004年、7月18日(日) 、19日(祝) 7:00 pm 開場 7:30 pm 開演
会場    明大前 キッド・アイラック・アート・ホール tel 03―3322−5564

ダンス   神蔵香芳   Kanzo Kahou … dance 

音楽    クリストフ・シャルル  Christophe Charles(リンク)
… electronics
       「空間に広がるノイズ」  クリストフ・シャルル … electronics

風巻 隆  Kazamaki Takashi … percussion
       「空間を奏でるタイコ」  風巻 隆 … percussion

料金    前売り、予約 2200円  当日 2500円
予約・問合わせ     キッド・アイラック・アート・ホール tel 03−3322−5564
企画・プロデュース   風巻 隆 takashikazamaki@h6.dion.ne.jp  制作            
原永真紀子(アトリエミルテ) 


<月と遊園地について>

1995年から、「月と遊園地」というプロジェクトで、ダンスと即興音楽のアンサンブル公演を共同で作品化してきた、ダンスの神蔵香芳とパカッションの風巻隆。昨年3月の公演では、明大前のキッド・アイラック・アート・ホールという空間で、アートの夏海花澄とともに、ダンスと音楽と美術があたりまえに出会える「広場」のような風通しのよい空間と、さまざまな共感が広がる舞台を作りあげた。

 今年7月に行われる「月と遊園地」では、空間をテーマに活動を続け、サンプリングした具体音や電子音を加工し、コンピュータを使って音を空間に広げていくクリストフ・シャルルの構築的な音と、ブリキのバケツや、革を張ったタイコのプリミティブな音の中に、思いがけない「懐かしさ」を呼び覚ましていく風巻隆の存在感あふれるパカッションが、神蔵香芳のダンスに豊かな色彩を施していく。 

 空間やさまざまな「もの」と対話しながら、「自分」というあやふやな世界をさまざまな形で表現していくダンスの神蔵香芳は、フォルムではなく「うごき」で語ることができるダンサー。その全身にくまなく広がった感性や、透明感があふれるうごきは早くから注目されていたが、踊ることへの確信が強まった最近の作品では、ことばも使いながら、ダイナミックでエネルギッシュなうごきを見せている。

 照明の坂本明浩との息のあった舞台は、完成度の高い作品を作り出し、天井の高いキッド・アイラックの漆黒の空間で、「月と遊園地」は、静けさとスピード感を、アートとエンターテイメントを、ハイテクとローテクを、そしてダンスと音楽をひとつの場所に共存させていく。「月と遊園地」という作品が語りかけるのは、今ここの時空を超えた、もう一人の自分との「出会い」のようなものかもしれない。


神蔵香芳+風巻 隆 主な作品

1993 「空にちかづく方法」
明大前 キッド・アイラック・アート・ホール

共演 アトゥ・パイネンブルグ

1994 「音のある風景」 大分、福井、佐渡、福島、花巻、大平(栃木) 

「MAM DAD GOD」  両国 シアターX

1995 「月と遊園地」 
明大前 キッド・アイラック・アート・ホール

共演 大熊亘、沢田穣治、坂本弘道、しばてつ

1996 「月と遊園地」 神戸  ジーベックホール

共演  クリストフ・ガリオ、エドアルド・アクリン、カーレ・ラール、 マルト・ソー、ポール・ハスキン、サム・ベネット

1999 「月と遊園地」 浅草AsahiスクエアA

共演  カーレ・ラール、大熊亘、坂本弘道、しばてつ

2000 「カフェ・カーニバル」
明大前 キッド・アイラック・アート・ホール

共演 火取ゆき、大熊亘、坂本弘道、大蔵雅彦、沢田穣治

2003 「月と遊園地」
明大前 キッド・アイラック・アート・ホール

共演  夏海花澄 (アート)


photo: Aki Tanaka (2003)

「空間を創るダンス」  神蔵香芳 … dance

神蔵さんの踊りは女性とか男性を超えている。それは、つぶやきでありささやきであるが、大きくうねる波音や窓をゆさぶる風の音でもある。幸福だが孤独であり、切実で切ないが懐かしさを呼びさます。踊ることは空間を作ることだと彼女に教えられた。   吉本ばなな(作家)

 東京・町田の幼稚園で、「こばとダンスクラブ」というこども達の自由な表現を大切にするダンス教室を行い、また、若い人達のダンスグループ「スーパー・フローティング・スタジオ」を主宰しているダンサーの神蔵香芳は、80年代から、そのとぎすまされた感性と透明感を持ったダンスが注目され、渋谷の「ジアンジアン」など、都内の劇場を中心にダンスの公演を続けながら、ソロの作品を次々と発表してきた。

 こどもの時からダンスを始め、桐山良子や邦千谷といった前衛的な舞踊家との若い頃の出会いの中で、神蔵香芳は、「踊ることで、光や音といった外の世界と心の中のイメージの世界がつながっていく」という、ユニークなダンス観を育くんでいく。そして、空間や、照明や、音楽などを自分の思いでコントロールするのではなく、むしろ、そうしたものに溶け込んでいくような独自の身体表現を身に付けていった。

 世界を全体として感じていたこどもの頃の感覚を出発点にして、ダンスを世界とつながっていく方法としてソロの活動を始めた神蔵香芳は、次第に、忘れかけた記憶を呼び起こし、もう一人の自分と対話していくような作品を形作っていく。97年からは「カホウダブルスダンスタインスタ」という、自作の映像やオブジェ、インスタレーションとダンスが共演し、空間に統合されていくというプロジェクトを続けている。

 パカッショニストの風巻隆との共演は、88年から断続的に続けられ、音楽とダンスが深いところで共感していく即興的な作品を、明大前のキッド・アイラック・アート・ホールや、ライヴスペース、ギャラリーなどで作り出していく。93年には、伊丹「アイホール」での「I&I VIBRATION」に神蔵香芳+風巻隆で参加し、岩下徹+梅津和時、山田せつ子+藤枝守とともに、ダンスと音の出会いを作品化していった。

94年にニューヨークを訪れたとき、偶然見つけたダンスの共同練習で、さまざまなタイプのダンサーと一緒に踊るという経験をした。言葉が通じなくても、「自然に」踊ることで「普通に」コミュニケーションが取れるというこの時の体験は、「ダンスは生きることのもうひとつの形で、なぜ踊るのか、何を踊るのかということは、そのまま生きることへの問いかけだ」という彼女のダンス観を、確かなものにしていった。

 それからの神蔵香芳は、躍動感のあふれた、ダイナミックな動きを見せるようになっていく。「踊ることは空間を創ることだ」という彼女のダンスは、からだの動きを空間にあまねく広げていき、「とらわれのない開かれた表現」を緻密に形作っていく。「ひとつの動きのなかに限りないイメージが在るのが見えるようになった」とき、ダンスは断片的な言葉をも取り込みながら、言葉にできない物語を語り始めていく。


神蔵香芳 主な作品

1990 
「海をひとしずくもっている」
渋谷ジアンジアン
「アリア・空気のかたち」
渋谷ジアンジアン

1991 
「草花の体温」 渋谷ジアンジアン

1994 
「Four Extremes 1〜4」 
池袋 ACT SEIGEI THEATER

1997 
「FOUR SICK GIRLS 1〜4」
錦糸町 スタジオ錦糸町

1999 
「うさぎ日和」 
横浜 STスポット

2000 
「She doesn‘t love me」
神楽坂 die pratze

2002 
「Happy together〜Happy together」
神楽坂 die pratze

2003
「空色タンゴ」 明大前 キッド・アイラック・アート・ホール

2004
「目印は空色のドア」 麻布 die pratze

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