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バナヤンからうさぎへ 3


うさぎさま

気持ちのきれいなお手紙ありがとう。
全部のことは、変わっていったり、去って行くからいいんだと思います。
それを眺めていることこそが人生で、自分からああだ、こうだと力をこめて細工したことは、あんまりいい景色になりません。うさぎさんがもし、ドナちゃんのことを強引にいろいろ聞いたら、きっとドナちゃんのことを思う気持ちが変わってしまう。うさぎさんの自然に流れていく心が気持ちいいから、ドナちゃんはひょっこりやってくるのでしょう。
そういうことってきっとなんにでもあてはまります。

さて、こいぬのことだけど、こういうことってよくあります。
昔、飼っていたハスキーが(その子ももういないけど)、散歩してたら、草むらに鼻をつっこんでくんくんいうので、見てみたら、へその緒がついた子猫が!!
これは絶対死ぬな、と思って、でも連れかえってミルクをスポイトで飲ませ、おしっこを出させ、ホカロンを入れた箱に寝かせてみたの。朝、お葬式を出すことになるんじゃろうな、と思ってのぞいたら、そいつは生きていたの。ミルクくれーといって鳴いていた。
生きるときは生きるなー、と思いました。死ぬときは死ぬというのも、同じ数だけ見てきました。
それからしばらくは大変で、大きなハスキーがその小さな子猫にパンチされてもじっと耐えているかわいいさまなど見て暮らしました。もともとハスキーが病気だったので、その子猫は家で飼えず、親友の家に行きました。親友のお父さんが車でむかえにきたんだけど、彼は江戸っ子で(うさぎよ、江戸っ子ってわかるかい?)、私が涙していても「いよう、感動の別れだねえ」と言って、にこにこしてあっという間に子猫を連れて行ってしまった。私は泣きながらも、そのいさぎよさに「お父さん、かっこいい…」と思っていましたとさ。
というわけで、今は全てが変わってしまったけれど、子猫は急に来て急に去って行ったけれど、そういう思い出が宝として残って行くのですね。
こいぬはどれだけいてくれるかな?名前はイヌヤンとつけました。
ちなみにその子猫は親友の家で、元気です。お父さんにいちばんなついています。
お父さんはあいかわらずかっこよくて、このあいだ、いっしょにカラオケに行ったら、「アイ、アイ、アイライクエンカ」というすごい歌を歌っていました。

寒くなってきて、こうなるともっと寒くなれ!と思ってしまいます。
でもそうなったらいやだなあ、とパネルヒーターの前で思っています。
じゃあまたね。
                             12月 バナヤンより

バナヤン3

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